King Gnuのワンマンで完全に落ちた話

※自分用の備忘録なのでライブレポと言えるようなものではありません

 

 

King Gnuとの出会いは4月、アサヒドライゼロのCMだった。

クレジットの「King Gnu」を何とか読み取ってYouTubeを検索しても、SorrowsにはMVがない。

仕方がないので検索で一番上に出てきた白日のMVを見た。

とくに雷に打たれるような衝撃などはなかったのだが、GW明け、私はゲオでSympaとTokyo Rendez-vousを借りていた。

 

1ヶ月もたたないうちにMETROCKのチケットをTwitterで譲ってもらって参戦し、井口さんのANNを毎週聞き始め、夏フェスのチケットも取った。

そして月割りなら飽きたときすぐやめられるからと、CLUB GNU(King Gnuのモバイル会員。つまりファンクラブ)にも軽率に入会した。

ツアーのお知らせが来たのは入会から1ヶ月くらい経ったころ。

 

 

そして11月26日、私はZepp Tokyoにいた。

 

グッズは先に行われた日比谷公会堂公演で購入していたのだが、スウェットだけは売り切れてしまっており買えなかったので、結局参戦日のこの日も朝からグッズ列に並んでいた。我ながら大変元気だと思う。

小雨も降り、おそらく今年一番寒い日だった。

4時間並んで無事に目当ての赤スウェットを購入し、浮き足立ったままCLUB GNU会員限定の抽選ブースへ。

タブレットにタッチすると結果はC賞で、それでもお姉さんがベルを鳴らしてくれた。

ぼっちなので恥ずかしくて、でも嬉しくて、何だかこそばゆい感じ。

帰り際、お姉さんたちが「次はもっと盛大に鳴らそう」ってお話ししていたので、多分この日初の当たりだったようである。C賞のみなさん、盛大にガラガラされましたか?

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その後はヴィーナスフォートでご飯を食べたり、グッズ列はどうなったかななどと思いながらTwitterを眺めたりしていたのだけれど、持ってきた充電器の残量がゼロだと気付いてからは急いでスマホを消した。

今日のライブチケットは電子チケットで、スマホの電池が切れたら全て水の泡なので。

今までのありとあらゆるライブの中でいちばんいい整理番号の入ったスマホを握りしめて開場時間を待った。

 

開場15分前、もうすでにZeppTokyoの前の狭い広場は会場を待つ人でぎゅうぎゅうになっていた。

整理番号は23番。入り口の近くで待っている人は一体何番なのだろう、こんなに近くで待つくらいだから1桁?と思いながらスマホ画面を覗き見ると、私よりも全然遅い。

普段なら後ろのほうの空いたスペースで開場を待つけれど、今日はここにいるほとんどの人よりも先に入れるんだよな、と思い、なるべく入り口に近いところにスペースを見つけて、そこで自分の番号が呼ばれるのをじっと待った。

寒いだろうと思ったのに全然寒くなくて、多分アドレナリンがフライングでドバドバ出ていた…。

ようやく番号が呼ばれて仕切りの内側に入ると、すぐには中に入れてくれなくて、ドリンクカウンターの横で並んで待機させられる。

そして係の人の先導で上手側のドアまでぞろぞろ移動して、また少し待ってからスタッフさんの「走らず入場してくださーい」の声で小走り入場。

みんなドアに近い上手側から陣取っていくので、比較的空いている(と言ってもどこもまだガラガラなので選び放題ではある)下手側に流れ、柵を掴んでステージを見上げると、目の前にはマイクスタンドがありました。

ここに常田さんが立つのか…と不思議と冷静になってしまった。

入場が進むにつれて周りの人たちがステージを撮影する音が大きくなる。

たしかに撮影禁止のアナウンスやスタッフさんの叫び声はないので、開演前なら撮ってもいいのかな?と思い、コソコソと数枚撮影。

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前に何も遮るものがないので撮り放題なのだけれど、そうなると逆に撮りづらいというか、選択肢は与えられ過ぎるとダメなのだなと思った。

スマホのバッテリーが心許ないのであまりいじるのはやめて、ただじっとステージを眺めていた。

開演前は何かしらの曲をかけるものだと思っていたのだけれど、とくに曲という曲はかかっておらず、飛行機のエンジン音のようなゴーーーという音が流れていて、一曲目はSlumberlandだろうと思ってたけど飛行艇かもしれないな、とか、開演の30分くらい前に速攻ブルーベリーを飲んだものの、ここまで来るともう飲んでも飲まなくても同じなのではないか、とか、ぼんやりと思いを巡らせたりして時間を潰した。

 


ふと明かりが消えると、スモークが強くなった。

ポルノさんのライブではほぼスタンド席から見下ろすことしかなかったスモークに初めて燻され、スモークってこんなにくさいのか、とむせていると、キャーという声がどこからか上がる。

もうステージ上にいるのかと思い、スモークの中を探すけれど、人影ひとつ分からなくて、やっぱりむせて、目を細めながらスモークの中で目を凝らし続けると、不意に大きな人影が目の前に現れた。

 


常田さんだった。

 


なんでこんなに大きいんだ?ダビデ像だからでっかいのか???

スモークが晴れるとようやく実感した。近すぎるのだ。柵から身を乗り出して手を伸ばせばきっと触れられるくらい近い。ステージのふちがすぐそこにある!

こんなに大きく見えるのに顔はちっちゃくて、何よりも顔がハチャメチャにいい。なにこれ???????

グレーのゆるくてぶっといスウェットを履いているのに足が長いことがわかる謎さ。指が長すぎる。筋張りすぎないしなやかな手。

突然目の前に現れたうつくしいものにうろたえるしかできない私をよそに、常田さんのそのしなやかな手は飛行艇のリフを弾き始めた。

 


やっぱり飛行艇だ!!!!!とハイパー嬉しくなって、この夏何度も聞いたはずなのに、なぜかまったく新鮮な気持ちで聞いていた。

私のようなにわかババアが最前列にいてごめんなさい…とどこか心の端っこで思っていたけれど、にわかでもなんでも今この瞬間私はKing Gnuに間に合ったんだと思うと、何もかもどうでもいいと感じた。

どんな夢を見に行こうか?と歌いかけてくる常田さんの声はやっぱり低くて、体の奥にずぅんと沈み込んでくる感じがする。なのにどこか高らかで、上へと引っ張られるような高揚感も感じる。

 


サビは客に歌うように声掛けがある。

指示されるがままに出せるだけの声で歌うけれど、命揺らせ、の部分は命以前に声が揺れる。音が高すぎるのだ。

周りには最高音に到達できない調子っ外れの歌があふれる。最高音どころかずっと音を外している音痴マンもいる。下手だな、とは思うけれど、不快すぎて死ぬというほどではない。みんな命を揺らしているのだな、とポエミーになっていた。

必死こいて歌いながらも、私の目線はずっと常田さんに向いていた。Cメロ部分、常田さんはその整った顔で我々の拙く必死に歌う様をじっと見ていたが、ひとしきり私たちの大合唱を聞くと、ほわっと優しく笑った。

この瞬間、私は無事本日初めての死を迎えた。

常田さんは笑うとおめめがなくなっちゃうタイプ。そして笑うと目尻に少し皺ができてとてつもなく優しい雰囲気になる。その笑顔に死んだのはそうなのだが、それだけではなく、必死こいて歌う客を見て嬉しそうに笑ってくれたのがとても嬉しく、とても尊いと思った。

優しい微笑みを湛えた常田さんはステージ上に顔を向けて、しばし3人と顔を見合わせていた。通常音源よりもずいぶん長くなった(と思う)ので、大サビへ移るタイミングをはかっていたのかもしれない。

 


初っぱなからブチ上げてしまい放心状態の私のことなど知る由もなく、2曲目はSorrows。赤っぽかったライティングから白い(普通の)ライトでありのままのKing Gnuがあらわになった。

改めて目の前の常田さんをまじまじと見てしまう。肌がちゅるちゅるで、くどくないあっさりめの二重まぶた。顔がいい。

フェスで何度も聞いたSorrows、やっぱり爽やかで疾走感があって大好きだなあ〜〜。

2週間前に行ったバズリズムライブでもSorrowsをやったのだけれど、音響トラブルがあってギターソロが鳴らなかったり、常田さんのマイクが入らなくて井口さんが代わりにSorrows!と叫んだりと、イレギュラーにとてもヒヤヒヤしてしまったので、個人的にはとてもスッキリした気持ちだった。

早すぎてどうなってんのかわかんないギターソロを間近で見てしまったけど、やっぱりどうなってるのか分からなかった。

井口さんはファルセットが話題にあがりがちだけど、普通の音域や地声で出す高めの音(食いし「ばって」とか)が本当に素晴らしいと思っているので、SorrowsやVinylのような曲は性癖に刺さる…。

 


この調子で書いてたら何万字になるんだって感じだし終わる気配もないので、サクッと書く(ように頑張る)。

 


・フェスで聞けるかなと期待してたけど結局ご縁がなかったロウラヴとIt's a small world、一緒に歌って踊ろうという呼びかけにぴったりすぎる。

意識せずともLaLaLa…って歌っちゃうし、体は揺れてしまう。

 


・楽器わからないマンだけどVinylのベースが大好きなので新井先生をガン見していた。冗談もご愛嬌でしょ〜の後の動きがハイパーエモ。

 


・何の曲だったか忘れたけど、終わりぎわに常田さんのギターがきゅいーんと変な音を出してしまったんだけど、その時の苦笑いと、それを(^▽^)←こんな顔で見てる新井先生がかわいらしかった…。

 


・何の曲だったか(以下略)、ふとせきゆーさんを見たら、想像の5倍は動いていた。ドラムだけじゃなくサンプラーもやるというのはこういうことなんだなと思った。サポートメンバーを入れずに音の厚さを実現するには必要不可欠マンなのだと思う。

バスドラ?が実は透明で、足の動きも見えるのが楽しかった。

 


・「新曲やりまぁす」とゆるーくさらりと紹介してやった新曲はかっこいい系。

とくに紹介もなく始まった未発表曲は赤いライティングだったから多分こっちがVivid REDで、先にやったほうがOverflowかな?

 


・音源だけ聞いたときはあんまり好みじゃないかな、と思っていたNIGHT POOLは、前に見たライブ映像がとてもふわふわしていて印象が変わったのだけれど、生で見るとまた印象が変わって大好きになったので、我ながらちょろいおたくです。

「夢の中へ飛び込んで」のところの音の圧がすごくて、グウゥゥってなる。

 


・きっと代名詞になるのだろう「白日」、ファンしかいないワンマンでも入りのところで歓声が上がるので、わかる…ってなる。

やっぱり井口さんはお歌がうまいな〜〜としっとりしていると、おもむろに常田さんが拡声器を手にしたので、この流れでやるの?!!?と思ったら本当にSlumberlandだった。

サビ前は荒く煽るフェスのイメージで聞いてたけど、ファンだらけで歌うことは知っていると分かっているのか、あまり煽ってなかったし客は当然のように歌っていた。私も。

2人くらい隣に男性がいたのだけれど、常田さんがその人に拡声器を持たせて歌わせていて、曲後に連れの女性が「すごいじゃん〜!」とはしゃいでいたのに対して当の男性は「なんで……」と割と呆けていたので、常田さんは男性にも強い(?)

 


・Vivid REDで常田さんキーボードに向かうも、姿勢がめちゃくちゃよい。そしてマイクが長すぎて顔の横あたりまで伸びており、キーボードに向いたままでは歌えないので、客席側を向いて歌いながら弾いていた。この人は……………(死)

Hitmanも曲の前にピアノソロを入れていて、それがオルガンのような音色だったので、教会みが強くて私はこのまま召されるのだなと思った。大サビの一部、主旋が重なってしまうところは常田さんと新井先生が補完していたのだけれど、これがくそうまくて困ってしまった。

 


・The holeはもう入りから常田大希コンサートかと錯覚する。この人本業ピアニストだっけ???でも指を見ていると案外固めの運指をしている。キーボードだと鍵盤が狭いのかもしれない。

新井先生がベースを背中に背負ってシンセベース?を弾いてるの性癖なので、交互にガン見してた。高音コーラスが新井先生だった(多分)のでびっくりした。

コンディションバチバチの井口さんはもう手がつけられない。バズリズムのときは喉を痛めていたので音域が厳しくて、でもその状態だからこそ見せられる表現があって、鬼気迫るものを感じたのだけれど、やっぱり本人がストレスなくスパーン!!!と声を出せることが一番ですよね。

井口さんの声はどこか少年みがあって、そのちらっと顔を出す幼さが曲に人間味を出していると思っているのだけれど、それをこの日一番感じたのがThe holeでした。この世のすべてからあなたを守れる人になりたいのに、本当はなれないこともどこかで分かっていて、なら自分が傷口となってでもあなたの心の穴を埋めてあげたい。完全に大人になってしまったら思いつかないことだと思うので、何年経っても技術だけで歌う日が来ないでほしいな、と思う。いろいろあるみたいだけど、井口さんのTeenがForeverしてくれますように。

 


ようやくMCが入る(MCというか井口さんの気まぐれ1人喋り)。これからアコースティック編成でやるので、その準備の時間にちょっとだけおしゃべり。

いぐ「寒いね〜。うちも寒いんだよね〜。今日寒くて5時に起きちゃったもんね。築50年で古くてさあ、隙間風がすごいのおれの部屋。」

隙間風のくだりで隙間風っぽい音(?)を出すつねせき。

新井先生が聞きながら喋りたそうにうずうずしているのがかわいい。

あら「自分の部屋だけみたいに言わないで、おれの部屋もだから」

いぐ「たしかにね〜でも絶対おれの部屋の方が寒いの、エアコンがないから。和輝の部屋にしかエアコンないの。」

あら「それはそうね」

おじさんが使うみたいなただの真っ白なタオルで汗をグワシャと拭うせきゆーさん。

いぐ「田中みな実ちゃんがフーッてやってるんだと思えばね…隙間風もいいよね…」

 


アコギ常田さん、カホンせきゆーさん、コントラバス(ウッドベースかな?と思って調べたら同じらしいですね。楽器難しい)新井先生でまずはDon't stop the clocksから。アコースティックでやらなかったら嘘でしょって曲。

指パッチンしながら周りを見回すせきゆーさん。途中でやり方を変えて(?)、かすって音がうまくいかなかったとき、いたずらっぽく常田さんのほうを見て2人で顔見合わせてニコニコしてたの、この世の天国か???

終盤のLonely Lonely Lonely泣かないで〜のコーラスは3人でやっていたのだけれど、これがピタリと一つの声になってて衝撃だった。ベースは常田さんの低めの声なので、ハイパーダンディーな沈み込むようなひとふし。新井先生さっきまで高音コーラスやってたやん…せきゆーさんも普段は割とへにょって喋るのに…。全員歌えるの強すぎるな。ふわふわとおだやかで浮遊感ある井口さんの声と対になって無事死にました。

 


McDonald Romanceは客に歌わせる。お金がなくてもあなたがいれば幸せ、っておたくに歌わせるのよくない。

せきゆーさんのカホンを見ていたのだけど、ただの箱のはずなのに(ただの箱ではない)叩く場所によって全然音が違って楽しい。側面は軽い音がする。メーカーのロゴのあたりを叩くと違う音がするので、最初何か金具でもついてるのかと思った。

せきゆーさんが途中でじっと常田さんを見てて(タイミングをはかってた)、その顔が無垢すぎてダメでした…。そしてそれに気づいた常田さんがニコーって笑い返して、せきゆーさんもホワーって笑って、幸せでしかなかった。

 


アコースティックで最後にBedtown。このライブで一番好きが爆上げした。最初何の曲だろ〜と思ったら常田さんが歌い出したのでおったまげ。

いやアコースティックでやる〜?!??!!って思ったけれど、声が渋すぎて死んでしまった。常田さん27じゃないでしょ。45くらいでしょ。45ちゃいのおかのあきひとくんと年齢逆でしょ。

常田さんは自分の声をダミ声だとどこかで言っていて、本人がそう言うならそうなのかなと初めは思っていたのだけれど、聴き込むにつれてダミ声とは違うのではないかと思うようになった。低いけどガラガラとかガサガサとは違う。ガサガサした声や喉で歌っている感じの声を聞くと、聞いているこっちが喉が痛くなってくるタイプの人間なのだが、常田さんにはそれをあまり感じない(煽るときは別)。

この日一番それを感じたのがBedtown。お腹にズウウゥンと沈んでくるような声だった。なんというか、鳴っているし響いている。合唱をかじっていたので、うーん、これは下バス!!と勝手にパート分けをした。

印象めっちゃ変わったのでまたこのアレンジで聞けたらいいな。でも通常版も聞きたいし選べん困る。

 


・Tokyo Rendez-vous最後の客に歌わせるとこで井口さんがマイクを客席に渡してしまい、曲が終わっても戻ってこなかったので次の曲に入れない事案が発生。

「マイク返してください!!!!」と思いがけず生声。マイクは戻ってきました。

 


・フェスで聞いて毎回ブチ上げてたFlash!!!、やっぱりハチャメチャに楽しい…。

間近で井口さんのドタバタがみられるぞ〜と思ったらやらなかった。(理由はANNで分かった)

 


最後の曲はTeenager Forever。まだ音源化されていないのに始まってすぐ歓声が上がったので、みんな待ち望んでいるんだよ〜!!という気持ち。

一度ソニーストアで試聴したので曲の構成は分かっていたのだけれど、やっぱり終盤の流れは一筋縄ではいかない感じがして、あの勢いも青春を表しているのかなと思ったりした。テンポが目まぐるしく変わるのでメンバーもアイコンタクト多め。

井口さんのドタバタはここに移動していた。若気の至り感??

 


曲が終わるとみんなサクッと退場。新井先生はぺこりと首を動かしてくれる。大人だ。(※同い年です)

せきゆーさんはステージ真ん中あたりまで出てきて、「結婚おめでとう〜」の声をいくつか浴びると、ポッケをゴソゴソ。結婚指輪を探してたみたいだけど入ってなかったみたいで、なにもはめていない左手を掲げて見せてくれました。やりたいことは伝わるからいいのだ。尊いの極み。

 


アンコールは決まったコールがないみたいで、みんな一言も発さずにひたすら手拍子していた。

 


しばらくするとぬるっと4人が再登場してきた。お着替えとかしないんですね。ライブTシャツに着替えて出てくるぽるのおじさんしか知らない民は驚くことばかりだよ。

定位置について、常田さんと井口さんがしばし顔を見合わせ、ふへへへと笑う。どっちが喋るか決めてなかったらしい。

 


つね「あのーーー、お知らせが。あります。1/15?アルバム出します。ツアーもやります。東京はアリーナです。大きいですねえ、井口くん」

いぐ「僕より大きいですよお」

つね「ふふww遊びに来てくださ〜い」

わたし(ぜひ行きたいのでチケット当ててください………)

 


2曲やります、とあらかじめ宣言するタイプ。1曲目は傘。イントロだけでオサレすぎて上がる…。

2曲目は私の最推し曲、サマーレイン・ダイバー。入りでめっちゃ溜める常田さん。高い音から入る曲だけど、常田さんの声は目的の音に到達するスピードが速い。最短距離でスパーン!!!と当ててくるし、溜めても変に子音が長くなったりしないのですごいと思う。

ロマンチックな歌詞なのに珍しく常田さんが歌う曲なのだけど、だんだん主旋が井口さんに移るのが本当に美しい。歌詞の通り深く潜ってゆくような常田さんと、海底から見上げた空の向こうにふわふわ浮いていくような井口さん。空間の広がりを感じる。

井口さんはこの曲でキーボードを弾いていない。2番が始まると定位置からゆっくりと歩き出して、だんだんと常田さんのほうに近づいてくる。そして真隣に来て、顔を見合わせながら完璧にハモった。こんな真反対の声質のふたりがきれいに合わさることある???目の前で繰り広げられている光景が、ほんとこんなしょーもない言葉にまとめるの申し訳ないんだけど、最高にエモ。エモいってなんなのか正直よく分かってないババアだけど、これがエモじゃなかったらなんなの??と思った。

"Dance dance, anyways, it'll work.”she says.と、会場全員で歌って、大団円。

 


常田さんは多分一度も持ち替えなかったスモーキーピンクのFenderのギターを客席にブン投げた。アウトロの途中でストラップが外れた(外した?)のが見えていたので、何か投げそうだな…いやでもさすがに投げないだろ…と思ったら普通に投げたし、そのまま回収もしなければ何も言うこともなく退場した。最強にロック。ギャップ激しい赤ちゃんスマイル(井口さん評)に死に続けた2時間だったけど、最後の最後で最強にかっこよくてもうダメだった。

残された3人はそれぞれマイペースに退場。新井先生はステージ上に立ててあったもう1本のギターを掴んで、客席に投げるフリをした。なにこのひとめちゃくちゃお茶目じゃん……(死)常田さん側のキーボードを置いたテーブルにガサっと置いてあったピックの山を鷲掴みにして、客席に撒いて帰って行きました。

せきゆーさんは汗拭き用の真っ白タオルで股間をゴシゴシして、いたずらっぽく笑っていた。その足がほっっっっそくて、もはや足がドラムスティックだった(?)

 


全員退場してからも周りがまったく動く気配がなく、退場を促すスタッフさんの声も本日の公演は終了いたしましたのアナウンスもない。えっこれダブルアンコールとかあるやつなのか?とキョロキョロしていたけど特になにもない。

後ろの人たちがステージの写真を撮りたくて押すのをやめていないだけだと気付いたので、適当に押しのけて帰りました。

 

 

 

終わってからなんだかずっとふわふわしていて、夢みたいだったとかそういうわけでもなく、でもこの感情を書き留めておかないと後悔するような気がして、これを書きました。

 


King  GnuはテレビやWebニュースで特集が組まれると、必ずと言っていいほど「鬼才」だの「天才」だの「音楽エリート」だのの修飾が付く。King Gnuについてもっと知りたい、と思っていろんな情報を漁り始めたころ、私はこのようなフレーズにおびえていた。

手の届かないはるか彼方にいる人たちで、音楽のことなど詳しくなく、ただ与えられたものをえ~めっちゃいい~などと上っ面の言葉で称えるだけの私のような人間のことは馬鹿にするタイプで、うるせえ大人しく俺らの演奏聞いてろ!!!というタイプのバンドなのだろうな、と思っていた。

なので初めてフェスでKing Gnuを見たときは、客に長いフレーズを歌わせたり、一緒に歌おう、踊ろう、と呼びかけてくることにとても驚いた。そしてなによりも、それに答える客を見て嬉しそうに笑ってくれることをこの日最前列で見て何となく感じた。

はるか上空にいる人たちであることは間違いないのだけれど、その上空からただ私たちを見下ろしているのではなくて、手を差し伸べて一緒に高みへ連れて行ってくれそうな気がした。

 


発表があった通り、来年はアルバムリリースとアリーナ(もある)ツアー。

King Gnuはどんなバンドになっていくのだろう?もうすでにパフォーマンスはお墨付きの4人だけど、のびしろもまだまだある。と思う。

とりあえず次もチケット当ててください。よろしくお願いします。